【WBSとは?】基礎知識と作り方、使い方

こんにちは。
「WBS(Work Breakdown Structure)」について書いていきたいと思います。
・WBSを作れって言われたけど、どうやって作れば良いの?
・見よう見まねでWBS作ったら、ただのスケジュールって言われたけど、何が違うの?
ということをもう少し詳しく知りたい人は必見です!

コンサルティングの仕事を行う上で最も重要なことは、プロジェクトのQCDの管理です。

  • Q:Quality(品質)
  • C:Cost(コスト)
  • D:Delivery(納期)

コンサルタントは企業の変革を支援することが多いですが、期限までに作業を終え、成果に結びつけることが重要です。

そのアドバイスをする側のコンサルタントがプロジェクトのQCDを守れなければ意味がありません。

このQCDの管理のベースとなるものがWBSです。

WBSの考え方をマスターすれば、就活や転職等の活動の計画や管理にも役立てることができます。

今回は「WBS(Work Breakdown Structure)」について紹介してきたいと思います。

1.WBSとは?

WBSとは、Work Breakdown Structureの略です。

プロジェクトの目標を達成するために必要となる成果物とそのために必要となる作業項目を構造的に制したものです。

起源は、1960年代に遡ります。

アメリカの国防総省(DoD、Department of Defense)とアメリカ航空宇宙局(NASA、National Aeronautics and Space Administration)がプロジェクト計画の立案手法として「PERT/Cost」を策定し、その手法の中でWBSとして検討されました。

1960年代のNASAと言えば、人類を月面着陸させるアポロ計画の真っただ中です。

考え方としては、最終成果物(エンドアイテム)を定義し、その成果物をより小さいアイテムに詳細化・分解(ブレークダウン)していき、全てのプロジェクトの要素を洗い出し、その関係性を明確にする手法です。

これにより、プロジェクトのスコープやコスト計画、日程計画等の管理につなげます。

現在でもPMBOK(Project Management Body of Knowledge、プロジェクトマネジメント知識体系ガイド)でも規定されています。

プロジェクトマネジメントについて詳しく知りたい方は、書籍「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド PMBOKガイド 第6版」を読んでみてください。

※プロジェクト管理の基本のPDCAについては以下の記事も読んでみて下さい

PDCAサイクルとOODAループとは?意味と使い方、改善法を解説!

2.WBSテンプレート

こういう歴史と背景のWBSですが、きちんと理解されている人は正直あまり多くないらしいです。

「テンプレートを見つけて作成しておいて!」や「サンプルを送るから真似してWBS作ってね!」なんて言って以下のようなスケジュール表がよく送られてくるらしいです。

図 スケジュール表 イメージ図

<図 スケジュール表 イメージ図>

ご覧になってわかるように、先に紹介したようなプロジェクトの目的や成果物等は定義されていません。

そのため起こりがちなことは、スコープとしてプロジェクトの目的や成果物が規定されていないため、ちょっとしたことが起こるたびに、毎回WBSという名のスケジュール表を作り直すということです。

ありがちな光景です。

3.WBSの検討はタスクベース?成果物ベース?

よくインターネットでもWBSの作成の仕方を紹介していますが、タスクの定義から記載されていることが大半を占めているように思います。

WBSには、プロジェクトの目的を実現するために必要な成果物を洗い出し、規定し、スコープを明確にするという重要な役割があります。

つまり、全体として何を作るのかということが無いまま、作業のタスクベースで計画を策定すると漏れ抜けが発生する可能性が高くなります。

そのためにも、まずは全体のスコープとして成果物ベースで構造化することをお勧めします。

ただし、システム開発等のようにタスクが標準化され、その成果物も規定されている場合には、タスクベースで始めることでも問題ないと思います。

ある意味、原点に立ち戻ることが重要に思います。

4.WBSの作り方と使い方

WBSを作成する大まかな手順は以下のような5つのステップになります。

  1. 成果物の洗い出しと構造化
  2. WBSディクショナリーの作成
  3. タスクの洗い出しと関係性の定義
  4. 日程計画の作成
  5. 要員計画・役割分担

詳細についてみていきましょう。

1.成果物の洗い出しと構造化

プロジェクトの目的に対して、何を最終的に作るべきか最終成果物を定義します。

最終成果物は情報システムのようなものの場合もありますし、イベントの場合もあったりします。

次に、その最終成果物を構成する中間成果物やイベントに落とし込みます。

さらにその中間成果物を要素分解していきます。

ここで言うイベントとは、「役員会での承認を得る」「新商品発表会を実施する」等ものではないのですが、プロジェクトとして実現する「成果」をイメージいただければと思います。

図 成果物の構造化 イメージ図

<図 成果物の構造化 イメージ図>

2.WBSディクショナリーの作成

作成した成果物の構造の要素ごとに、WBSディクショナリーを作成します。

どのような成果物を作るのか、そのためにはどのような資源が必要なのか、コストや日数はどのくらい必要なのかを検討して、明確化していきます。

このWBSディクショナリーがある程度完成すれば、プロジェクトのスコープはかなりはっきりしてきていると思います。

図 WBSディクショナリー イメージ図

<図 WBSディクショナリー イメージ図>

3.タスクの洗い出しと関係性の定義

WBSディクショナリーで規定した成果物を作成・実行するにはどのような作業が必要かを洗い出していきます。

作業項目を洗い出したうえで、先ほどと同様に作業項目をより詳細なタスクに落とし込んでいきます。

その上で、作業の前後関係等の整理・検討を行います。

4.日程計画の作成

それぞれの成果物を作成するための工数は検討しておりますので、タスクの関係性と合わせて日程計画に落とし込んでいきます。

大規模なプロジェクトですと、作業工数の山積み等様々な検討要素を同時に検討しなければなりませんので、プロジェクト管理ツールを使うことをお勧めします。

5.要員計画・役割分担

最後に、山積みが考慮された日程計画・工数をもとに、アサインする要員の計画や成果物・タスク毎の役割分担を決めていきます。

5.まとめ

WBSはこのように作成して、計画として具体化していきます。

WBSを作成することで、プロジェクトの目的として何を実現すべきか、そのために何をアウトプットすべきかを明確にすることができます。

しかし、重要なことはWBSをもとに作成したプロジェクト計画をきちんと管理することです。

せっかく作ったWBSも使われなければ意味がありません。

日々の成果物の進捗を見える化し、プロジェクトのQCDの管理に活用してください。

※プロジェクトの成功に向けて何をすべきかについては以下の記事も是非読んでみて下さい

【コンサル業界】プロジェクト成功のカギを握るポイント3選を徹底解説!