【BANT】とは?基礎知識と使い方、フレームワーク

こんにちは。
「BANT」について書いていきたいと思います。
・BANTってどんなフレームワークなの?
・何のためにBANTを使うの?
・BANTってどうやって使うの?

ということをもう少し詳しく知りたい人は必見です!

映画やドラマの営業現場のシーンとかでのあるあるですが・・・、

営業課長:「お前いつもぶらぶらしているけど、今月あと10日しかないのに目標達成できるのか!」

できる営業:「いやいや、月末見ていて下さい!」

結果、できる営業の人は目標を達成できちゃうというシーンありますよね?

逆に

営業課長:「お前いっぱい提案はしているみたいだけど、今月あと3日しかないけど契約まで持ち込めるんだろうな!」

できない営業:「今、提案している案件が10件あるので 明日には全て契約に持ち込めます!」

結果、できない営業の人は1件の契約も取れずに終わるとシーンも見たことありますよね?

段々と営業の職場も変わってきているとは思いますが、似たようなことは実際起こっています。

なぜ、このような問題が起こるのでしょうか?

営業の案件をどう管理するのか共通のルールがなく、案件の視える化ができていないからです。

個々の営業の感覚に頼ってしまっていることから、冒頭のような行き違いが起こります。

この営業現場での行き違いをなくすためのフレームワークの一つとして「BANT」というものがあります。

今回は、この「BANT」についてご紹介してきたいと思います。

1.「BANT」とは?

冒頭で紹介したような“できる営業”と“できない営業”をなぜ営業課長はきちんと管理できていないのでしょうか?

それは、“できる営業”も“できない営業”も “営業課長“も「何が営業案件で、何が営業案件でないかということの共通言語がないまま、今月の営業成績について会話しているから」です。

共通の言語で話していなければ、お互いの意思は通じませんよね?

その問題を解決するフレームワークが「BANT」です。

何が営業の案件なのかを決めるための共通言語です。

この「BANT」は、B2CよりB2Bの法人営業の現場で使われます。

インターネットで「BANT」を検索すると色々なものが出てきます。

結構多いのは、

  • 「BANT」を使って案件の受注できるかどうかの確度を評価する
  • 「BANT」を使って営業担当者をコーチングする

などだと思います。

応用編として、このような「BANT」の使い方もあります。

まずは「BANT」の基本から紹介したいと思います。

「BANT」は以下を表したものになります。

B:Budget(お客様企業の予算)
A:Authority(お客様企業で案件や予算の執行を承認できる人)
N:Needs(お客様企業で予算を使う案件の必要性)
T:Time-Frame(お客様企業でいつ案件を開始するのか、いつの期の予算なのか)

そして、この4つの英語の頭文字をとったものがBANTです。

2.なぜ「BANT」が必要なのか?

外資系の企業では、「Opportunity Identification(OI)」という言葉をよく使います。

「営業案件の見極め」のことを言っています。

営業の報告をする際に、週単位や月単位で受注できる見込みについて報告しますよね?

その際

  • 提案や成約に向けて営業の時間を費やして意味のある営業案件なのか
  • お客様先で聞いてきた先の長いたらればの話なのか

を見極めなければならないですよね?

また、提案するにしても

  • 提案書の作成
  • お客様先でのプレゼン

などで時間を使うので当然費用がかかります。

ならば、まだ先行き不透明なたらればの話に時間を使わず、直近で成約できる可能性が高い案件に注力すべきです。

そこで、その仕分けや見極めに使うのが「BANT」です。

「成約の見込める“営業の案件」と「まだ先のたらればの話」を一緒くたにして話しては、個々の営業部門の管理も難しいですが、大きな企業だと全社の先行きの見通しがブレブレになってしまいますよね?

そこで、この「BANT」に照らして

・直近でお金と時間をかけて営業すべき案件なのか
・一旦先の話として取り置きしておく話なのか

について仕分けをします。

冒頭のシーンに照らして、「BANT」についてもう少し見てみたいと思います。

B:Budget(お客様企業の予算)

できる営業は、必ずお客様の予算を嗅ぎ分けています。

お客様がいくら壮大な提案の話をされていても、実際に使えるお金がなければ全く意味がありません。

そこで、お客様が会社として使える予算がどれだけ確保できているかを確認します。

A:Authority(お客様企業で案件や予算の執行を承認できる人)

できない営業は、とりあえず現場の担当者が言っていたことを鵜のみにしがちです。

一方で、できる営業は、予算の執行を承認できる人に、使えるお金がどれくらいあるか「ウラ」をとっています。

いくら案件があると言っても、お金を使うつもりがなければ提案しても無駄になりますよね?

N:Needs(お客様企業で予算を使う案件の必要性)

できる営業は、その案件の必要性や要件はどのくらい明確になっているのかを確認しています。

何のために使うのかが明確でなければ、予算を使う道筋はついていないですよね?

これを「CRA」と言ったりする会社もあります。

CRAとは?
「Compelling Reason to Act」の略。
行動するためのやむを得ない理由のこと。

つまり、その案件はお客様企業が今しなければならない必然的な理由があるかということを確認するようです。

T:Time-Frame(お客様企業でいつ案件を開始するのか、いつの期の予算なのか)

できる営業は、この予算はいつ使えるのかを必ず確認します。

例えば、「BAN」まで確認できたけど、実はプロジェクトの開始時期は翌期ということであれば、今力を入れて対応する案件ではないですよね?

予算が

  • いつから使えるのか
  • いつまでに使わなければならないのか

などは聞きにくいですが確認することが重要です。

3.「BANT」の使い方

冒頭で、応用編の使い方に触れましたが、「BANT」の使い方を見ていきたいと思います。

案件の見極めに使う

先ほどご紹介したように、営業案件として注力するかどうかの判断に使います。

最近の法人営業では、様々な役割の人がチームを組んで、一つのお客様を担当する「チーム営業」という形態をとることが多いです。

そこで、人によって営業案件の解釈が異なるとチームで活動するのは難しいです。

そこで、「BANT」を使って、営業案件かどうかの見極めを行います。

営業組織の管理に使う

冒頭のシーンではないですが、“営業案件”と営業案件でない“たらればの話”を一緒くたにしては、営業組織の数字の管理は困難ですよね?

まずは、最低限”たらればの話”は避けておく必要があります。

そこで「BANT」を満たさない”たらればの話”は、別のバケツに避けて管理し、時が熟すのを待ちます。

営業のコーチングに使う

営業案件を進めるために、どのようなアクションをとるべきかのアクションプランをコーチングするためのツールとして使用します。

冒頭で、できない営業の話をしましたが、できない営業や若手の営業をコーチングする際にもこの「BANT」を使います。

案件ごとに「BANT」を確認し、部下に対して指示します。

  • 「A:Authority」の確認ができていなければ、「どこの部の部長にアポをとって確認しろ!」
  • 「N:Needs」の確認がきちんとできていなければ、「このテーマなら研究所の○○さんに聞いてみろ!」

といった感じでしょうか。

営業が持ってくる案件の「BANT」を一つずつを上司と部下が確認しあい、案件の角度を高めるために、とるべきアクションの検討に使います。

4.まとめ

「BANT」は非常に簡単なフレームワークですが、これを意識しているかしていないかで、成果は随分と変わります。

実は、コンサルティングファームでも「BANT」を使っているファームは少なくないようです。

コンサルティングの営業は、提案から成約まで場合によっては1~2カ月かけて提案するような場合もあります。

その際、「BANT」の要件が満たされていない案件に提案をしていたらどうでしょう?

1~2カ月の提案にかけた時間が全て無駄になりますよね?

このように、営業として力を入れて提案すべき営業案件か否かということを「BANT」で見極めていくのです。

元々、「BANT」を提唱したのはIBMと言われていますが、1990年代に潰れかけたIBMを復活させたルイス・V・ガースナーさんが書いた本は、大企業の復活に向けた構造改革について書かれた、経営コンサルタントの必読書です。

是非、手に取ってみてください。