【アンゾフの成長マトリックス】とは?使い方や事例を考察!

こんにちは。
「アンゾフの成長マトリックス」について書いていきたいと思います。
・今年のうちの部の目標は去年の1.5倍だけど、どうすれば目標達成できるかな?
・今のお客様を大事にするのと、新しいお客様と開拓するのとどっちが有効なの?
ということをもう少し詳しく知りたい人は必見です!

就活している大学生や事業会社でキャリアで悩んでいる人の話を聞くと、「新製品の開発やマーケティングしたいけどな」という人が非常に多いです。

しかし、日本の社会では多くの場合は、「就職」ではなく「就社」です。

一生懸命に就活を頑張って就職しても、自分の思い描いていたような仕事をできる確率は極めて低いです。

「会社は自分のことを分かってくれていない」と嘆く人も多いですが、決して会社も何も考えずに配属しているわけではありません。

それぞれのスキル等を評価して貴重な戦略を活用しようとしています。

しかし、自分の将来のキャリアを考えることも重要ですよね。

新しい会社で新しい仕事を見つけるのか、今の会社でスキルを広げて希望の仕事にアサインされるか、はたまた困難な資格を取得して違う会社で活躍するとか、選択肢は様々です。

これは、企業においても同じです。

そういった企業の成長戦略を考える際に使うのが「成長マトリックス」です。

今回は「アンゾフの成長マトリックス」について紹介してきたいと思います。

※キャリアチェンジで悩んでいたら、以下の記事も是非読んでみて下さい

20代でのキャリアチェンジに向けて今すべきこと5選を解説!

1.「組織は戦略に従う」のか「戦略は組織に従う」のか?

「成長マトリックス」は、ロシア系アメリカ人の応用数学および経営学者であるイゴール・アンゾフ先生が提唱したフレームワークです。

アンゾフ先生の名前を聞いたことがある人も多いと思いますが、「戦略は組織に従う」と提唱し、経営戦略の父と言われ、戦争で使われていた戦略という概念を取り入れたと言われています。

「戦略って組織に従うんだっけ?」と思った人も多いのではないでしょうか。

「組織は戦略に従う」と提唱したのはチャンドラー先生です。

常に変化する環境に適合した戦略を策定しても、その実行に適した組織でなければ有効に機能しないという観点から、「組織は戦略に従う」とチャンドラー先生は提唱されました。

一方、いくら新しい戦略を考えても、従来からのやり方を変えることへの抵抗(現状維持バイアス)等組織の自己防衛本能や企業文化により戦略が想定通りに機能しないということがあります。

そのため、戦略を策定するにあたっては対象とする組織に細心の注意を払って検討が必要ということで、アンゾフ先生は「戦略は組織に従う」と提唱されました。

どちらかというに日本企業に多い事例ですね。

2.アンゾフの成長マトリックスとは?

これは、事業の成長を考えるにあたり、「製品」と「市場」の2つの軸を設定し、「製品」と「市場」それぞれを「既存」と「新規」とに分けて、2×2の4つのセルで捉えるというものです。

一般にはよくアンゾフの「成長マトリックス」とか「成長ベクトル」とか「製品・市場マトリックス」等と呼ばれています。

基本、全て同じものです。

図 アンゾフの成長マトリクス

図 アンゾフの成長マトリクスにおけるやる気と能力

3.成長戦略の方向性

個人的には「成長ベクトル」という言葉が好きです。

成長戦略には、方向性が重要ですよね。

  • 市場・顧客への更なる浸透
  • 新規市場・新規顧客の開拓
  • 新製品・新サービスの開発
  • 多角化

それぞれについて詳細をみていきましょう。

市場・顧客への更なる浸透

新規の市場・顧客や新製品やサービスの開発に対して、既存の市場・顧客でのロイヤルティを高める戦略です。

例えば、新規に顧客を開拓し、獲得するためのコストは既存顧客の獲得コストは5~6倍と言われています。

しかし、成熟市場、つまりレッドオーシャンでの勝負となると、現状維持ならともかく成長戦略という点ではかなり難易度が高い施策が必要となるのが常です。

※CRMの基本も紹介していますので、こちらの記事も是非読んでください。

経営コンサルの必読書厳選9選!【CRM編】 

新規市場・新規顧客の開拓

一方、既存の製品やサービスをベースに、新しい市場や顧客を開拓するのが「新規市場・新規顧客の開拓」です。

従来アプローチしていなかった顧客や市場に向けて進出します。

営業の人は結構自分の持っている顧客リストをベースに営業活動をしがちです。

最近では、企業情報等を収集・蓄積して、BI(Business Intelligence)やAI(Artificial Intelligence)を用いて、ポテンシャルの高い顧客リストを作り、営業生産性を飛躍的に高めるというような取り組みも活発になってきています。

新製品・新サービスの開発

読んで字のごとく、既存の市場や顧客に対して、新製品・新サービスを開発して提供することを意味します。

しかし、新製品や新サービスの開発は容易でないですし、時間もかかりますよね。

これまで担当する顧客や市場に投入していなかった製品やサービスの提供ということも含めて考えて良いと思います。

例えば、コピー機等の事務機器を扱っていた会社が、ITやネットワーク等のソリューションを提供している会社も増えてきています。

単に従来からのハード以外にも、ビジネスのチャンスを広げようというものです。

多角化

成長戦略を考える上で、最も難易度が高いのがこの多角化です。

日本の企業でも多角化にチャレンジして、失敗した企業は多いですよね。

新しい市場や顧客のニーズ/ウォンツを綿密に調査するとともに、その市場で差別化できる製品やサービスの準備が必要となります。

アンゾフ先生は、多角化について、以下の3つの戦略を提唱しています。

  • 水平型多角化
  • 垂直型多角化
  • 集中型多角化

4.成長の戦略を考える

「成長マトリックス」で方向感を検討することはできますが、どうやって戦略の中身を考えれば良いでしょうか。

一例として、ファイブフォース分析とバリューチェーンを活用した手順を紹介します。

  1. ファイブフォース分析で脅威に対する対抗策を検討する
  2. バリューチェーンで自社のケイパビリティ強化を検討する

以上の2つについて詳細をみていきましょう。

1.ファイブフォース分析で脅威に対する対応策を検討する

ファイブフォース、つまり5つの競争要因は以下の5つです。

要因Ⅰ 新規参入の脅威
要因Ⅱ 既存競争業者間の敵対関係の強さ
要因Ⅲ 代替製品からの圧力
要因Ⅳ 買い手の交渉力
要因Ⅴ 売り手の交渉力

自社や自部門が取れるべき戦略が先の4つのどこに行くのかにより、それぞれのセルの市場・顧客、製品・サービスを洗い出し、上記の5つの競争要因に対して、どのような打ち手を打つべきかを考えるのです。

※ファイブフォース分析について詳しく知りたい人はこちらの記事を参考にしてみて下さい

【ファイブフォース分析】とは?基礎知識と使い方

2.バリューチェーンで自社のケイパビリティ強化を検討する

ファイブフォース分析で、何をすべきかが見えてきたら、その実現のために自社や自部門として何をすべきかを考えます。

自社や自部門のバリューチェーンを作成し、自分達の向かう方向に進むために何をケイパビリティ(企業や組織が持つべき能力)として強化すべきかを考えます。

成長に向けて強化しなければならないケイパビリティは何か、追加で書くとしなければならないけいケイパビリティは何かを検討します。

※バリューチェーン(価値連鎖)について詳しく知りたい人はこちらの記事を参考にしてみて下さい

【バリューチェーン(価値連鎖)】とは?基礎知識と使い方

5.まとめ

冒頭紹介したように、時々就活生や転職を考えている人と話すことがあります。

そういった時に、話を整理するためにアンゾフの「成長マトリックス」の応用で、「キャリア形成マトリックス」なんて言うフレームワークを使っています。

簡単なフレームワークですが、それぞれの悩みや思いを可視化することで、自分が何をしたいのか、そのためには今何をすべきかということを見つけることができます。

図 キャリア形成マトリックス

図 キャリア形成マトリックス

是非、活用してください。