「コンプライアンス遵守!経営コンサルのリストラ・解雇」について書いていきたいと思います。
・ずっとプロジェクト入ってないけど大丈夫かな?
ということをもう少し詳しく知りたい人は必見です!
コンサルティングファームは平気で社員を解雇するとかブラック企業みたいな書き込みが目につきますが、それほどブラック企業ではありません。
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確かに「アップオアアウト(Up or Out)」とか言われて、優秀で上位のランクへプロモーションできない人はコンサルティングファームを去るみたいない言われ方もよくされています。
しかし、最近ではコンプライアンスも厳しくなり、簡単に解雇をするコンサルティングファームはあまりないのではないでしょうか。
早期退職制度等も含めて考えると、日系の事業会社の方が積極的に社員数の調整をしているように見受けられます。
解雇というのは、解雇する側にも、解雇される側にも重要なテーマです。
今回は「コンプライアンス遵守!経営コンサルのリストラ・解雇」について紹介してきたいと思います。
コンテンツ
1.退職勧奨の実際の話
私自身はあまり接したことのない解雇の実態について先輩や知人のコンサルタントの人から聞いた実際にあった話を紹介したいと思います。
時々、外資系を中心に不当解雇の裁判等の記事が新聞や雑誌の記事に載っていますが、外資系のコンサルティングファームでも、通常あまり解雇は行っていないようです。
そこで、その実際にあった話をいくつか整理して紹介したいと思います。
よくあるのは、会社の業績が悪くなった、もしくは悪くなりそうなので、人員削減を目的に退職勧奨を行うということです。
よく、ロックアウト解雇とか言って即時解雇のような話ばかりが話題になりますが、そのようなことはほとんどないようです。
では、実際の退職勧奨の道のりについてみていきましょう。
対象者はどう選ばれるか
多くの場合、ローパフォーマーつまり業績が悪い人が対象となります。
例えば、過去2年間連続して5段階評価の一番下の5番目だったとかいう基準です。
また、同じランクに長くいて、上のランクにプロモーション(昇格もしくは昇進)できないような人です。
どのように伝えられるか
大抵は、上司の人と一対一か、そこに人事の人を含めて面談から始まります。
面談では、パフォーマンスが低い事実を説明され、よりスキルにマッチした仕事を探すようなことで退職を促すようです。
その際、早期退職に向けたプログラムの説明があるようです。
大抵は、以下のようなプログラムがあるようです。
- 通常の退職金に加えて1年分の給与が割増で支払われる(雇用期間で変わるようです)
- 次の仕事まで見つかるまで人材紹介エージェントを無期限で会社の費用負担で使うことができる
- 3か月程度の間、会社に在籍したまま社員として転職活動を行うことができる
それまでにも予兆はある
このような面談の前には、プロジェクトでの評価が良くないので、段々とアサインがなくなっていくといった予兆があります。
また、あまりスキルが低いと、クライアントにもプロジェクトチームのコンサルタントにも迷惑が掛かるので、コンサルティングファームの方では積極的なアサインをしなくなります。
このプロジェクトにアサインされない期間を、会社によっては「ビーチ」と呼びます。長期間「アベる(Availableな状態)」とも言ったりします。
その間、大抵の会社はスキル習得に向けた研修など業績改善に向けた指導は行います。
しかし、仕事とスキルがマッチしない場合は、そう簡単に改善するものではありません。
そこで、先のような面談がセットされるのです。
退職勧奨を受けないとどうなるか
不当解雇という話にならないように、人材紹介エージェントの専門家から対象者を部下に持つ管理職の人には、対象者の方との面談での話し方など指導されるそうです。
しかし、指導の甲斐もなく、何回か面談を続けても先に紹介したようなプログラムに同意しない人もいます。
管理職の人にも会社からプレッシャーがかかるそうです。
すると、せっかく専門家に指導してもらっているにもかかわらず、「お前は出来が悪いから解雇だ」とか頭にきて言ってしまうようです。
一方で、本当にパフォーマンスが悪い人は、本人の将来を考えても仕事に向いていない人もいます。
そういう人に対しては、業績や勤怠、プロジェクトでの評価等の事実に基づき弁護士の方が判断して解雇の通知をするようです。
これも、あくまで解雇の通知や予告であり、ロックアウト解雇の話ではありません。
よく聞くロックアウト解雇の話は非常に稀なケースとのことです。
このような状況になると退職勧奨には応じなかったことになるので、先ほど紹介したような早期退職のためのプログラムも使えません。
2.解雇にもいろいろある
先ほどのような退職勧奨は解雇ではなく、解雇には以下の3つの種類があります。
- 普通解雇
- 整理解雇
- 懲戒解雇
退職勧奨は解雇とは違いますが、行き過ぎた退職勧奨は違法になる場合もあるので、注意が必要です。
また、退職勧奨による退職の場合は、自己都合による退職ではないのでこのあたりも覚えておきましょう。
会社都合の場合、失業給付金を早く受け取れ、給付日数も長くなります。
ただし、デメリットもありますので注意してください。
では3つの解雇について具体的に紹介します。
普通解雇とは?
普通解雇になるような理由は大抵は就業規則に書かれています。
- 健康状態の悪化による労働能力の低下
- 仕事をするための能力が著し低く、業績も継続して低い
- 無断欠勤、遅刻・早退が多い
- 勤務態度が悪い、社会人としての協調性が低い
- 業務の作業指示や業務命令に従わない
コンサルティングファームで良くあるケースは、やはり2のケースです。
その他のケースについても、継続して指導してもなかなか直らない人は一定数いるように思います。
そういう場合に、普通解雇の対象になるようです。
整理解雇とは?
整理解雇は、普通解雇のように本人に原因が無くても、会社理由で一方的に解雇しようとするケースです。
その場合には、本人の能力や勤務態度と関係なく会社事情での解雇なので、不当解雇かどうかの判断が厳しくなるようです。
- 人員削減の必要性がほんとにあるのか
- 新規の採用停止や役員報酬カット等解雇以外の経費削減策をとったか
- 客観的な基準で対象者が選ばれているか
- 従業員や労働組合と十分に協議されたか
といった要件を満たす必要があるようです。
懲戒解雇とは?
懲戒解雇とは会社の秩序を乱した社員対して課す制裁罰の一つになります。
いわゆる「クビ」です。
- 長期間、無断欠勤している
- 会社の金品を横領した
- 犯罪など法に抵触する行為で逮捕や起訴された
などで、そんなに簡単に懲戒解雇はされません。
しかし、懲戒解雇の事実は一生ついて回るもので、再就職の時に重大な不利益をもたらします。
履歴書に書かなくても良いですが、退職理由を面接などで聞かれたら正直に答える必要があります。
3.法律の優先順位
会社との労働契約は、民法でいう契約とは異なることに注意が必要です。
民法では、多くの場合、契約内容は法令よりも優先されます。
しかし、労働基準法は「強行法規」のため、労働契約や就業規則の内容よりも労働基準法が優先されます。
労働条件を判断する場合の優先順位は以下のように決まっています。
- 法令(労働基準法等)
- 使用者と労働組合で取り決める労働協約
- 会社が定める就業規則
- 採用時などに結ぶ労働契約
※以下の記事も参考にしてみて下さい
なので、就業規則に違反したからすぐに解雇ということにもなりませんが、労働基準法に違反していればそれが理由で解雇ということになりかねません。
また、必ずしも雇われる側が一方的に有利ではないこともあることは理解しておいてください。
例えば、採用時に前提としていた能力より明らかに下回ることが採用後に判明したという事情があれば、会社からの指導が十分とはいえなくても、正当な解雇と認めるケースも増えているように聞きます。
経営コンサルタントの場合は、先に紹介したような普通解雇のような要件は当然クリアしている上に、それなりに専門能力があるということで高い給与で雇用されていることを理解しておきましょう。
就業規則や労働基準法とか意識しないで働いている人は少なくないです。
就業規則や労働基準法をきちんと理解しておくことは、どのような会社で働くうえでも重要なことです。
※経営コンサルタントの給与については以下を参考にしてみて下さい。
4.まとめ
解雇の問題は、非常にデリケートな問題ですね。
解雇される人のみならず、そのご家族も含めて大きな影響がある話です。
なので、解雇の妥当性は非常に慎重に判断されると聞いています。
だからと言って、会社やルールに甘えて良いというわけではありません。
駆け出しコンサルタントとしては、日々の厳しい仕事をこなすこととともに、高いパフォーマンスや付加価値を提供できるよう日々スキルの向上に取り組むことが重要だと思います。
是非、労働基準法についても正しい理解を持って下さい。
厚生労働省の「労働契約の終了に関するルール」を是非読んでください。(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouseisaku/chushoukigyou/keiyakushuryo_rule.html)
もう少し詳しく知りたい人は、以下の本もお勧めです。
「これ一冊でぜんぶわかる! 労働基準法 2019~2020年版」