【コンサル業界】コンサルティングの仕事が始まるまでのSTEPを解説!

こんにちは。
「コンサルティングの仕事が始まるまでのSTEP」について書いていきたいと思います。
・コンサルってどういう風に仕事始めるの?
・まだ具体的に課題とか分からないけど、コンサルの人に仕事ってお願いできるの?

ということをもう少し詳しく知りたい人は必見です!

経営コンサルティングの仕事は、形がないものを形にするところから始まります。

例えば、同じようなサービスでも、クラウドサービスのセールスフォース・ドットコムのSalesforceを見てみましょう。

サービスといってもすでに基本の形ができているので、営業部門の働き方を変えたいと考えた時に、まずSalesforceを使い始めてみるなんてこともできます。

しかし、経営コンサルティングの場合では、営業部門の改革をしたいという案件がある場合、

  • 営業の働き方を変えて、生産性を上げる
  • 営業の事務業務を減らして仕事の負荷を減らす
  • 営業のマネジメントの仕方を変える

など、クライアントの依頼内容を具体化していくところから始まります。

また、同じような課題であっても、クライアントの業種や置かれている状況が違えば、検討する内容や解決策は変わってきます。

このように一品一葉のサービスを形にするところから経営コンサルティングの仕事は始まります。

今回は「コンサルティングの仕事が始まるまでのSTEP」について紹介していきたいと思います。

1.コンサルティングの仕事の始まり

「コンサルティングの仕事ってどのように始まるの?」ってよく聞かれます。

世の中にはたくさんのコンサルティングファームがあって、どの会社も得意な専門領域やそれぞれの領域の専門家を抱えています。

そこで、企業はどういうきっかけでコンサルティング会社を選んでいるのでしょうか?

コンサルティングの仕事にきっかけには以下のパターンがあります。

  • 以前からの仕事の繋がり
  • 紹介や口コミを頼って
  • WEBやブログを通じて
  • セミナーや雑誌の寄稿等で知ってもらう
  • 広告を通じて

他にも、色々細かいパターンはありますが、何よりももっとも重要なきっかけは、「以前からの仕事の繋がり」と「紹介や口コミを頼って」の依頼・問い合わせです。

会社の大きさではなく、実績・実力がものをいう世界です。

それぞれについてみていきましょう。

以前からの仕事の繋がり

コンサルティングの仕事の始まりとして、最も多く一般的なのは、以前一緒に仕事をしていたクライアントの方から声をかけてもらうことです。

例えば、以前業務改革でご一緒していたクライアントの社員の方が異動されて、別の部署で似たような業務改革の仕事があるけど手伝って欲しい、というようなケースです。

また、コンサルタントは自分のキャリアパスの実現に向けて状況に応じて転職する人も結構多いですが、転職した後も以前ご一緒したクライアントの方から声をかけてもらえる時もあったりします。

ただし、一般的には転職後の一定期間はコンサルタントの方から以前所属していたファームのクライアントに営業するのはご法度です。

紹介や口コミを頼って

経営コンサルティングの仕事は医者の仕事に似ていてると紹介しましたが、仕事の始まりも医者に似ているところがあるかもしれません。

コンサルティングの仕事は、サービスを売ります。

よって、医者の治療と同じで、形ではみえません。いわば結果が全てです。

なので、同じ会社の他の部署の人に以前使ったコンサルタントを紹介してもらったり、大学の時の知人や業界のネットワーク等を通じてコンサルタントを紹介してもらったりするケースも多いです。

やはり、実績があって、腕がたつと評判のコンサルタントに仕事を頼んだほうが安全ですよね。

※医者の仕事に似ていると紹介した記事は以下になります

WEBやブログを通じて

このブログも一つのマーケティングのチャネルみたいなものですが、インターネットで検索して、事例や実績を持っている会社を検索して問い合わせをするケースもあります。

ただ、お互いをよく知るところから始めなければならないので、少し仕事が始まるまでには時間がかかります。

セミナーや雑誌の寄稿などを通じて

有償、無償でセミナーをやっていることが多くあります。

いくらWEBやブログで実績を紹介しても、なかなか実態を理解してもらうのには時間がかかります。

また、経営コンサルティングの仕事は、コンサルティングを実施するコンサルタントに大きく依存します。

よって、セミナーなどの講演で実際のコンサルタントの話にじかに触れて、仕事を依頼してみようというきっかけに繋がることもあります。

専門誌などに寄稿したり、書籍を出版したりするのも同様の理由です。

どれだけの専門性を持っているのか、客観的に知ってもらうためです。

広告を通じて

大手のコンサルティングファームでは広く広告を出稿したりしています。

しかし、大手以外のコンサルティングファームだと、専門誌などが企画する企画広告に参加したりして、広く会社を知ってもらうようなケースが多いです。

ただ、WEBなどと同じで、仕事につながるまでには時間がかかります。

2.クライアントへの課題確認

では、クライアントとの接点ができた後、まず何をすべきでしょうか?

仕事のきっかけとして、初めにすべきことはクライアントの課題を聞くことです。

経営コンサルタントとして何ができるかをプレゼンすることもありますが、

  • 何に困っているのか
  • どのようなことがしたいのか

など、初めにクライアントの課題を確認することからはじめます。

コンサルタントというと、何かかっこいいプレゼンをしている人というイメージを持っている人も多いようなのですが、コンサルタントの仕事の中心はクライアントの話をきちんと聞くことです。

クライアントの生の声を聞くことで、そこから仕事が始まります。

ただ、コンサルタントを使うのに慣れたクライアントだとあらかじめ話を整理してあったり、RFP(提案依頼書)を準備されていたりします。

それでも、クライアントの課題の真意をつかむことは難しいです。

そこで、ちょっとした手法を使います。

OBQAテクニックなどと呼んでいますが、以下の通りです。

  1. Objective(目的、つまり解きたい問題や実現したいこと)を明確にし、
  2. 目的達成に向けたBarrier(制約)を想定し、
  3. 1.と2.を確認するQuestion(質問)をクライアントに投げかけ、
  4. 3.の質問のAnswer(答え)をクライアントから導きます。

当初クライアントから聞いた目的が大きなテーマであれば、4.で導かれる答えが次の1.の目的になります。

このOBQAのサイクルを可能な限り繰り返して、具体的な内容に落とし込んでいきます。

あくまでイメージですが、図のようなサイクルを繰り返します。

図 OBQAのサイクルのイメージ
<図 OBQAのサイクルのイメージ>

つまり、クライアントが依頼しようとしている内容の仮説を立てて、具体的な内容に落とし込んでいく作業です。

トヨタ生産方式のなぜなぜ分析ではないですが、具体化するまで4回、5回と確認します。

経験豊富で実績のあるコンサルタントであれば、最良の仮説を初めから準備して、短期間でクライアントが真に依頼したいことを整理することができます。

一人で自問自答して、内容を整理しクライアントの真意に近づいていきます。

一方で、新しく難しい課題や、非常に大きく幅広いテーマを与えられた場合は、提案として具体的な内容にまで落とし込めるように、チームで議論しながら、OBQAを整理して行く場合もあります。

コンサルタントは正式な提案書を作成する前に、よくディスカッションペーパー(討議用資料)と呼ぶ提案内容を確認するための資料を作成して、クライアントと打ち合わせをします。

これは、仮説として検討した目的や制約などが正しいかどうかを検証するための作業です。

「そんなに手間かけるなら、作業を始めてしまったほうが良いのでは?」と思われるかもしれませんが、内容が固まらなければ、どのくらいの期間で、どのような体制で問題を解決できるか分からないですよね。

クライアントの依頼を具体的に確認することは、誤った方向で検討を始めないために、仮説を検討していくということとともに、コンサルティングファームが期間、体制、金額を見積もる上で、避けて通れない道です。

こういうステップを端折って、手持ちの資料で提案書を持っていくと、大抵、「ちょっとまだうちのことわかってもらってないみたいだね」とクライアントにあっさり言われてしまい、初めからやり直しです。

3.提案書の作成

ディスカッションペーパーをもとに、クライアントの困りごとや実現したいことを明確にしていき、その結果を踏まえて、提案書として仕上げます。

提案書として仕上げるまでの過程で、ディスカッションペーパーをもとにきちんと議論ができていれば、提案書は比較的形式的なものになるケースが多いです。

クライアントと討議した内容を踏まえて、期間や体制を固めて、金額まで出して、プレゼンしたけど内容が違うなどということになっては、目も当てられません。

おおよそ、提案書には以下の内容を記載します。

  • 提案の挨拶
  • アジェンダ・提案書の構成
  • 現在のクライアントの状況の理解
  • 目的と解決の方向性
  • 提案のスコープ
  • 検討のアプローチ
  • 体制・日程計画・見積金額
  • 終わりに(次のアクションのクライアントとの確認)

コンサルティングの提案書は10~20ページ程度のものから、場合によっては100ページを超えるようなものまで様々です。

しかし、基本は以上の内容をカバーしていることが重要です。

4.契約

提案の内容が合意できれば、後は契約です。

基本、コンサルティングに関する契約は、準委任契約です。

準委任契約とは,業務の委託者(クライアント)が,業務を受託者(コンサルタティングファーム)へ委託するという契約です。(民法656条)

受託者であるコンサルティング会社は,善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負って仕事をすることになります。(民法644条)

よって、受託者であるコンサルティングファームは,仕事の完成義務がないため,瑕疵担保責任を負いません。

よく、日本の会社は請負契約で瑕疵担保責任を持ってもらうという契約をしたがりますが、実施内容が明確に決まっていないコンサルティング業務を請け負うことは困難ですし、何に対する瑕疵なのかもはっきりしませんね。

しかし、善管注意義務というものがコンサルタントには課せられます。

善管注意義務とは、民法第400条にある「善良なる管理者の注意義務」のことです。

業務を委任された専門家としてのコンサルタントは、その能力などから考えて通常期待されることに応えねばならないということです。

よく、「請負契約でなくても、私たちは逃げたりしません」みたいなやり取りがありますが、基本、提案書で約束したことをきちんと果たすのがコンサルタントです。

5.まとめ

はじめてお会いするクライアントの方から経営コンサルティングの仕事の依頼を正式に受けるまでには、とても時間がかかります。

例えてみれば、お見合いみたいなものかもしれません。

クライアントの側からはこのコンサルタントはどのくらいの実力があるのかや専門分野や得意領域は何かなどを知ることから始まりますし、経営コンサルタントの側からはクライアントの企業の状況や課題を知ることから始まります。

そんな出会いから始まるコンサルティングの仕事ですが、末永いお取引になることが多いです。