「イシューツリーの作り方」について書いていきたいと思います。
・イシューツリーってどうやって作るの?
ということをもう少し詳しく知りたい人は必見です!
経営コンサルティングの現場では、「イシュー」という言葉をよく使います。
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「イシュー」をネットの辞書とか検索すると、問題とか、課題とか出てくると思いますが、Problemの問題ではなく、「論点」というように解釈してもらえると分かり易いと思います。
もしかすると、色々なご意見のあるコンサルタントの人もいらっしゃるかもしれませんが、プロジェクト等のゴールに向けて解くべき論点が「イシュー」です。
今回は「イシューツリーを作ってみよう!」についてご紹介していきたいと思います。
コンテンツ
1.イシューツリーとロジックツリー
コンサルタントの仕事に興味を持たれている方だと、イシューと関連して、
- イシューツリー
- イシューダイアグラム
などの言葉も、時々耳にすることもあるかもしれません。
また、「イシューツリー」に似たものとして、「ロジックツリー」とかいうものもあります。
カタカナばかりで、かつ似たような形なもので、結構分かりにくいですよね?
コンサルティングの仕事の紹介をしている本やWEBでは、区別して書いていないものも結構多いと思います。
現場でも、あまり意識して使っていないコンサルタントの人も結構いるようにも思います。
まずは、ロジックツリーについて少しご紹介したいと思います。
ロジックツリーは、MECEに事象等を分析して、論点に漏れがないかどうかを検証したりするために、事象を論理的に分解していくものです。
よって、ツリーの枝葉の先の枝は、必ずMECEに親の枝の要素をカバーしていくことが原則です。
簡単な例で紹介すると、「利益を上げる」ためには
- 売上を上げる
- 経費を下げる
という2つの側面があるように、2つの枝葉に要素分解していきます。
また、以下の図で分かるように「売上を向上する」であれば
- 顧客数を増やす
- 客単価を上げる
に分解できます。
さらに、「顧客数を増やす」については
- 新規顧客を獲得し、新規顧客数を増やす
- 既存顧客を維持し、リピーター率を向上させる
などに分解していきます。
場合によっては、過去の顧客であった「離反顧客」や「休眠顧客」という枝葉も必要になるかもしれません。
一方で、「客単価を上げる」のであれば、
- 個々の顧客が購入する購入品数を増やす
- 購入品の単価を上げる
ということに分解できると思います。
このように、ロジックを整理して行き、検討するべき要素に漏れ抜けがないかどうかを検証していきます。
その過程で、漏れがありそうな部分やダブりがありそうな部分にロジックの矛盾があるので、そういったところを深堀することで、見えていなかった課題を発見することができます。
ロジックツリーに対して、プロジェクトの目的・ゴールに向けた論点を整理するものが、イシューツリーになります。
2.イシューツリーの作り方
イシューツリーの作成の仕方は以下の通りです。
①目的やゴールを設定する
②論点を仮説として展開する
③仮説を検証する
この3つの手順について詳しくみていきましょう。
①目的やゴールを設定する
イシューツリーは主として、プロジェクトの目的やゴールに向けた論点を分析するために作成するので、目的・ゴールを見誤らないことはすごく重要です。
目的やゴールには以下の2つがあります。
- クライアントの達成するべき目的やゴール
(ex.売上年率10%向上、利益率5%向上など) - プロジェクトの達成するべき目的やゴール
(クライアントの目的達成のために、プロジェクトとして何をすべきかを明確にする)
プロジェクトによっては、成果報酬という形で、経費を削減できた分コンサルティングの報酬を頂くという形態もあります。
しかし、多くの場合は、一定期間のプロジェクトの活動に対して、報酬を頂いています。
よって、例えば、「3年先の売上や利益の増加」というクライアントの目的やゴールがそのままプロジェクトの目的やゴールになるのではなく、その実現のために何をすべきかを紐解くことが必要になります。
つまり、プロジェクトの中では、クライアントの目的やゴールを実現するために必要となる“手段”を明確にすることになります。
例えば、
- 現状どのような事象が起こっているのか、その悪さ加減はどの程度か?
- また、その事象の背景で何が起こっているのか?
- その事象の原因は何か?
- その原因をどのように解決することができるか?
- そのために必要なものや仕組み(プロセス、システム、体制 等)は何かを?
などを段階的に明確にしていきます。
だからと言って、コンサルタントとして腰が引けているというわけではありません。
常に全力でクライアントの目的・ゴールの実現、成功に向けて活動しています。
②論点を仮説として展開する
- クライアントの目的やゴール
- プロジェクトの目的やゴール
がクライアントのメンバーと合意ができる頃には、プロジェクトで明らかにすべき論点(イシュー)の整理もできてきます。
大きな論点としては、5つ前後くらいが良いように思います。
論点が多すぎても、細かすぎて個別課題を集めたものになってしまいますし、少なすぎても大きすぎて曖昧なものになってしまうため、議論しづらくなります。
一つ一つの論点はテーマとして独立したものであり、クライアントの目的やゴールを実現するために必要なものは全て含まれている必要があることを忘れてはいけません。
次のステップとして、その論点に対して、想定される仮説を検討していきます。
過去のコンサルタントの経験や事例等を参考に作り始めたりします。
また、仮説に漏れが発生しないように、フレームワークを使ったりします。
※フレームワークについては以下の記事を参考にして下さい。
この仮説の良し悪しがプロジェクトの成否を左右するといっても過言ではないので、先人の知恵はもとより、様々なフレームワークを使って、仮説を展開して、整理することが重要です。
言うまでもなく、仮説は検証するためにたてます。
プロジェクトの中では、この仮説を検証することが中心の作業となります。
検証結果に基づき見直すための仮説ではありますが、大幅な見直しが必要になれば、取り返しがつかないことになりかねません。
この点を常に念頭に置いて仮説を検討する必要があります。
③仮説を検証する
設定した仮説を一つ一つ検証していくのが、コンサルティングのプロジェクトの典型です。
ここでは仮説検証の概要についてご紹介します。
論点をある程度具体化できたところで、その仮説を検証するために必要となる「キークエチョン」を考えます。
このキークエスチョンの結果がYESかNOかが重要です。
NOであれば、仮説の見直しが必要になるということです。
よって、キークエスチョンは、仮説を確認するための質問でなくてはならないし、ファクト(事実)で検証できることを前提とした質問で考える必要があります。
そこで、クライアントに対して仮説を検証するために必要となる
- データ等のファクトの提供
- インタビューの調整
などをお願いすることになります。
3.まとめ
仮説を立ててその仮説を検証するというプロセスはコンサルティングの基本の基本です。
このような基本的な訓練を受けているコンサルタントが実施するプロジェクトと、見よう見まねで無手勝流でプロジェクトを進めているコンサルタントのプロジェクトとでは、QCDが全く変わってきます。
訓練を受けていないコンサルタントが実施するプロジェクトでは、大抵の場合、Q(Quality:品質)も低く、C(Cost:費用。ここでは工数。)も必要非常に必要となり、結果D(Delivery:納期)を守ることが難しくなります。
言うまでもなく、プロジェクトチームは混乱し、不必要な残業や休日出勤が増えてしまいます。
メンタル的にも体力的にもどんどん追い込まれてしまいます。
このような状況にならないためにも、適切な仮説を設定できるスキルを身に着けることは、経営コンサルタントとしての基本です。
コンサルティングの現場では実行力ととともに仮説等を考える力、つまり思考力が要求されます。