「コンサルにとっての必須科目のPMOを徹底解説!」について書いていきたいと思います。
・来週からPMOのプロジェクトにアサインされたけど、何を知っておけば良いの?
ということをもう少し詳しく知りたい人は必見です!
大学生で経営コンサルタントを目指している人でも、「PMO」という言葉に馴染みは無いと思います。
また、キャリアチェンジを目指す人も会社内でプロジェクト等にアサインされないと「PMO」という言葉は普段聞かない言葉だと思います。
経営コンサルティングの仕事の中にもPMOやPMO支援といった領域があります。
本来は、新規事業の戦略や業務改革の基本構想等を策定するのがもともとの経営コンサルティングの仕事ですが、今では戦略や構想を展開・定着化するという実行力も求められています。
そのため、システム開発の工程も含めて、戦略策定や構想策定以降のシステム開発や新しい業務への移行や定着化までを経営コンサルタントが担当します。
その際の関わり方は、PMOの形態となることがほとんどです。
今回は「コンサルにとっての必須科目のPMOを徹底解説!」について紹介してきたいと思います。
コンテンツ
1.PMOってなに?
PMOは一般には、Project Management Officeの略です。
また、複数のプロジェクトを連携させて一体運営するような場合には、Projectの上の概念としてProgramというものがあります。
そのため、PMOをProgram Managementの略で使用する場合もあります。
プロジェクトマネジメントの知識の体系である「PMBOK」では、PMOを以下のように定義しています。
プロジェクトに関連するガバナンス・プロセスを標準化し、資源、 方法論、ツール、および技法の共有を促進するマネジメント構造
PM(Project Manager)は、チーム横断にプロジェクト全体に関するQCD(Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期))を管理し、意思決定を行い、責任を持つ役割です。
しかし、プロジェクトが大きくなったり、プロジェクトが複数あるプログラムとなると、一人でプロジェクトの全てを可視化し、管理し、意思決定を行うことは困難です。
そのため、PMOということでPMをサポートする役割が必要となります。
通常、PMは最終責任者として一人ですが、PMOは複数人で構成されます。
2.PMOは何をするの?
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日本PMO協会では、PMOの役割を以下の6つに定義しています。
(https://www.npmo.org/)
- プロジェクトマネジメント方式の標準化
- プロジェクトマネジメントに関する研修など人材開発
- プロジェクトマネジメント業務の支援
- プロジェクト間のリソースやコストの各種調整
- 個別企業に適応したプロジェクト環境の整備
- その他付随するプロジェクト関連管理業務
これらの役割を実現する上で、以下の3つの職種を定義しています。
PMOアドミニストレータ-
プロジェクト全般に関する事務等のプロセスを支援する職種です。
プロジェクト関連のデータの収集、プロジェクト関連情報の共有・展開、会議体のコーディネート・運営、各種書類の作成等があります。
PMOエキスパート
PMOエキスパートには以下のような役割が期待されます。
- プロジェクトに関するプロセスの分析や改善
- 各種情報に基づく情報提供や改善
- プロジェクト管理ツールの導入や教育・定着化
- ビジネス関連の要求事項やニーズの分析
- 関連ステークホルダーとの調整
- 人材の教育・育成
等
PMOマネージャー
PMOマネージャーはその名の通り、PMOという組織を運営するためのマネジメント業務です。
PMOチームの運営計画の策定と管理にはじまり、PMOメンバーの教育や勤怠・労務管理、予算管理等を行います。
3.PMOは外部のコンサルに委託する仕事なの?
クライアントのマネジメントの方からは「PMOなんていう管理業務は外部委託しないで社内で対応しろ」という指示が出ることは少なくありません。
しかし、それでも大手企業の現場にはPMOという名前の経営コンサルタントが沢山います。
その理由は大きく2つに分けられると思います。
社内にプロジェクトマネジメントができる人材がいない
社内にプロジェクトマネジメントができる人材が不足しているという背景があります。
例えば、自動車会社での新車開発は巨大プロジェクトです。
また、金融機関における情報システムの構築もその成否は事業の根幹を揺るがしかねません。
このような企業にはプロジェクトマネジメントのスキルを持った社員がいらっしゃいます。
しかし、相応に大きな企業でもプロジェクトマネジメントの専門スキルを持っていたり、大規模なプロジェクトを管理したことがある社員の方はあまりいません。
そのため、外部に委託したほうが安全かつ効率的というところがあります。
社員では社内を調整できない
日本海軍での問題として取り上げられた「やましき沈黙」があります。
特攻隊等問題と分かっていても、正しい本音を口にして大きな流れに反対できなかったことを指しています。
(https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2012041747SA000/)
日本企業ではまだまだ社内での問題点を赤裸々に見える化して、真っ向から議論するようなことは馴染まないところがあるようです。
そのため、リスクを放置してリスクが顕在化してしまった場合には、もう手遅れということも少なくありません。
「やましき沈黙」を打ち破ることが外部の人材に求められています。
4.経営コンサルタントにとってのPMOとは?
では、高い報酬を払ってなぜ経営コンサルタントにPMOを依頼するのでしょうか。
3つご紹介します。
課題の管理
最も重要な仕事は課題の管理です。
課題の管理というと簡単に聞こえますが、単に出てきた課題を一覧にして、解決状況を管理するだけではありません。
課題の内容は業務からシステムまで様々な課題が発生します。
その一つ一つに対して、社内外の状況や業務やシステムに関する状況を分析・判断して解決策の案を導き、クライアントと合意していくところまでが含まれます。
中々、クライアントの社員だけではできない仕事です。
社内の組織間の調整
先ほど既に「やましき沈黙」として紹介したように、日本企業では「やましき沈黙」で正しいことを正しいということが言えない文化がまだまだあります。
そういう中、理論武装してロジカルに問題点を整理して、解決策を提示できるコンサルタントの力が求められます。
会議の進行
もしかすると大学生の方には「会議の進行?」と思われた方も多いと思います。
経営コンサルタントには「ファシリテーション」と言って、会議を設定して、アジェンダを調整し、会議の議論をコントロールして、一定の時間内に想定の結論に落とし込むといったスキルも求められています。
こういったスキルが無い人だけで会議を行うと、毎回同じテーマで会議をして、時間が来たのでまた次回に打ち合わせということになります。
会議を仕切り、結論をきちんと出す力が経営コンサルタントに求められています。
5.まとめ
このように、建前としてのPMOの役割と現場で経営コンサルタントに求められている役割とはちょっと異なるところもあります。
PMOとして深く、長くクライアントと付き合うと、継続したビジネスという点では良いかも知れません。
しかし、コンサルタントの長い目で見た場合の成長としては、短期的な視点で、限られたクライアントの環境内での問題解決のため、PMOだけに特化していくことはスキルの成長が止まるとも言われています。
クライアントの成功のためには必要不可欠なPMOのスキルは、コンサルタントとして重要なスキルです。
コンサル志望の人であれば、山口さんの「外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント」も読んでみて下さい。