「パワーポイントでの資料作成手順・ポイント」について書いていきたいと思います。
・言いたいことは決まってるけど、どうPowerPointに落とせば良いの?
ということをもう少し詳しく知りたい人は必見です!
私たち経営コンサルタントが資料を作成する際に、確かにきれいな資料を作るように心がけていますが、最も気を付けているのはロジックの美しさです。
ロジックの美しさとは、報告書等作成した資料のページ構成が一貫した一つのシナリオとして、筋が通っている資料になっているのかどうかということです。
起承転結ではないですが、最初の「起」から最後の「結」まできちんとした物語として、成立していることが最も重要です。
1枚1枚のPowerPointのページがいかにきれいにできていても、資料全体のロジックが美しくない資料はほとんど意味がありません。
今回は美しいロジックの資料をどう作っていくのか「パワーポイントでの資料作成手順・ポイント」についてご紹介していきたいと思います。
コンテンツ
1.イシューからはじめよ
まず私たちが検討するのが“イシュー”つまり課題や論点です。
コンサルティングの仕事を始める時に、仮説としての課題設定を行います。
それを「Day 1 Issue」と言っています。
プロジェクトでは、その課題を検証していくので、課題設定がきちんとできれば、仕事の半分以上は終わったと言っても過言ではありません。
経営コンサルタントの仕事は、限られた時間の中で価値を提供していかなければなりません。
よって、仮説をもって物事を見るようにしていきます。
例えば、道に迷ってGoogle Mapも使えないとき、とりあえず歩き回るのではなく、
- 太陽の方向を確認する
- 大きなビルを目印する
などして、行きたい場所に向かうと思います。
イシューとか仮説と聞くと難しいものかと思われるかもしれませんが、このような迷子にならないための“道しるべ”が仮説と思って下さい。
これらを構造的に整理したものがイシューツリーです。
私たちがコンサルティングの仕事をはじめたり、報告書を作成したりする際の出発点になります。
※イシューツリーの作り方は以下の記事を参考にして下さい。
【コンサル業界】実践!イシューツリーを作ってみよう!
2.ロジカルライティング~メッセージの構造化~
イシューが設定できたら、次にそのイシューをどのように構造化してメッセージを伝えるかを考えます。
そのために使う手法がロジカルライティングです。
ロジカルシンキングはよく聞かれる言葉かもしれませんが、ロジカルライティングも経営コンサルタントにとって重要なスキルの一つで、自分の考えや主張を論理的にわかりやすい文章を作成するうえで必須のスキルです。
コンサルティングの活動では、打ち合わせ用の資料や報告書等作る資料は様々です。
どのような資料を作成するにあたっても、まず、その資料で取り扱うイシュー、つまり課題・論点を設定します。
これが資料のメインメッセージになります。
最初に「誰に向けて何を伝えるのか」というメインとなるメッセージを検討し、メインメッセージを下位のサブメッセージに分解します。
その上で個々のサブのメッセージに対して「何が結論なのか、その結論を担保する事実は何か」を構造的に整理することから始めます。
資料のオーディエンスや読み手を設定する場合には、
- オーディエンスの企業内やプロジェクト内での役割
- プレゼンテーションや資料の形式の好み
- 伝えようとしている内容への態度はどうか
- 内容へのリアクションはどうか
などを想定します。
また、資料の目的も
- 単なる情報共有なのか
- 検討内容を理解してもらうのか
- 検討結果を承認してもらうのか
という点について明確にする必要があります。
メッセージを展開していく場合も、経営コンサルタントとして事実に基づく分析とロジックを大切にしなければなりません。
設定したオーディエンスの好みを考慮し、
・事実→理由→結論→メッセージ
・メッセージ→結論→理由→事実
の進め方について、よく考える必要があります。
全体の構成を考えずにとりあえずで資料作成を始めてしまうと、次にすべきこと・意思決定すべきことが記載されていない資料になってしまいます。
3.ストーリーボードを作る
メッセージの構造化ができれば、この構造をもとにストーリーボートというものを作成します。
よく使われる言葉でいうと絵コンテでしょうか。
私たちは絵コンテのことをストーリーボードって呼んでいますが、イメージとしては下の図のようなものになります。
イシューダイアグラムで検討した内容をストーリー立てて、どのようにPowerPointの資料として作成していくかの原稿になります。
図の中の四角い箱がPowerPointの1ページと思ってください。
そこに記載すべきチャートのイメージとキーメッセージを記載し、資料の全体の流れや構成を検討しながら作成します。
何か特別なツールがあるのではなく、チームでディスカッションしながらホワイトボードに書いていったり、私たちがよく使うのはA4の方眼紙を横にして、そこに四角い枠を書いていったりします。
MUJIから絵コンテ作成用の枠線が書かれたノートなんかもあるので、気になる人は手に取ってみて下さい。
4.ストーリーボードの重要性
経営コンサルティングのプロジェクトは大抵4-5人のプロジェクトチームで活動しています。
それぞれの人が自分のイメージで、バラバラと資料を作っては、経営層に報告するような報告書の作成は困難です。
そこで、重要になるのがストーリーボードになります。
資料の構成・流れについて全員が共通の理解を持ち、個々の担当する資料を作成できるようにすることが重要です。
ストーリーボードの内容を合意することができれば、7-8割は作業が終了したと言っても過言ではないと思います。
一方で、最近はペーパーレス化で、パソコンやプロジェクターだけでPowerPointでいきなり資料を作成するようなことも増えていますが、お勧めできません。
1枚1枚の資料は美しいのですが、資料全体の構成はちぐはぐで、通しで読めないようなものが出来上がってしまう可能性が高いです。
資料をレビューされた時、「ページとページの間でロジックが飛んでいる」と言われてしまいます。
5.ヘッドラインを考える
ストーリーボードを作成する際に気つけなければならないことに、Horizontal LogicとVertical Logicという考え方があります。
日本語での表現が難しいですが、あえて言うと水平方向の論理展開と垂直方向の論理展開という感じです。
水平方向の論理展開(Horizontal Logic)というのは、全体の資料の流れを指します。
コンサルタントの作る資料には、大抵の場合、ページの上部に2-3行の文章が書いてあります。
コンサルティングファームによって呼び方が異なりますが、
- ヘッドライン
- メッセージ分
- リード文
などと言ったりしています。
各ページに記載されたヘッドラインを紡いでいくと、一つの文章として成立するかが重要です。
実際の現場では、PowerPointのヘッドラインだけをWordに抜き出し、一連の文章として成り立っているのかチェックをします。
一方、垂直方向の論理展開(Vertical Logic)というのは、各ページの構成を指しています。
水平方向の論理展開で作成されたヘッドラインの内容が、各ページの中身(ボディーの部分)として、図柄や表、グラフなどできちんと記載されていることが重要となります。
ヘッドラインに記載されていることはボディ部分に表現され、ヘッドラインに記載されていないことはボディ部分にも書かれていてはいけません。
特に、役員などのマネジメント層の方は忙しく、ヘッドラインしか読まれないことも少なくありません。
よって、ストーリーボードを検討する時は、この二つの論理展開をきちんと確保することが重要となります。
※ヘッドラインはとても重要なので、以下の記事も参考にしてみて下さい。
【完全保存版】ヘッドラインはこれで完璧!気を付けるポイント5選!
6.まとめ
上記の手順が終われば、残りはそのままPowerPointに落としていく作業だけです。
チームで作業をしてPowerPointの資料を作っていると、「自分には絵心がないからPowerPointは苦手です」という人が時々います。
経営コンサルタントがPowerPointを作る際に、将来の事業の構想等を図式化して表現したりする時に、確かに絵心も必要になるような場面もあったりします。
しかし、大半の資料では、こういうことを表現する時はこういう図や表を使うと良いというような資料構成のパターンが存在します。
一つ一つ中身はきちんと議論して検討を行った上で作っていきますが、資料のすべてのページ毎の構成を考えるのに創意工夫や絵心が必要というわけではありません。
今回紹介したように、経営コンサルタントに必要なのは、絵心のある見た目が美しいPowerPointを作るアートなスキルではなく、頭脳をフル回転させて考えた美しいロジックを表現したPowerPointを作るスキルです。
皆さんも仕事等でPowerPointを作成する際に、是非活用してください。
本格的に勉強したい人には必読の古典です。
経営コンサルティングの仕事はイシューからはじまります。参考に読んでみてください。
具体例がたくさん掲載されており、PowerPointを作る際に大いに参考になると思いますので、是非読んでみて下さい。
外資系コンサルのスライド作成術 作例集―実例から学ぶリアルテクニック
記事で紹介した無印良品の絵コンテ用のノートはこちらになります。活用してみてください。