「業務プロセスの設計について徹底解説!」について書いていきたいと思います。
・業務プロセスとか業務フローとか言い方を分けてるみたいだけど、どう違うの?
ということをもう少し詳しく知りたい人は必見です!
コンサルタントの仕事の重要な仕事の一つに業務プロセスの構造改革というものがあります。
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新卒でコンサルタントになっても、キャリアチェンジでコンサルタントになっても、結構早いタイミングでアサインされるのが、現状業務プロセスの作成や分析等業務プロセスの作成や可視化の業務です。
ただ、業務プロセスの設計は分かりやすいということもあり、きちんとした教育を受けていないコンサルタントも少なくありません。
しかし、業務プロセスを設計する上で、業務プロセスの設計方法は基本として押さえておく必要があります。
これからコンサルタントを目指す人には必須の知識です。
今回は「業務プロセスの設計について徹底解説!」について紹介してきたいと思います。
コンテンツ
1.業務プロセスと業務フローは何が違うの?
コンサルティングの現場では、あまり業務プロセスと業務フローを厳密に分けて使っていないコンサルタントの人も多いように思います。
ネットで調べてみてもわかると思いますが、両者の違いについて触れている記事はあまりありません。
英語の単語の意味に答えがあると思います。
- フロー(flow):流れ
- プロセス(process):処理、加工、過程
業務の流れなのか、業務の処理の過程なのかの違いです。
よく、業務マニュアルの一部として、淡々と業務の手順をフローチャートで記述しているものが業務フローです。
対して、業務プロセスは、プロセス設計の用語にIPO(Input-Process-Output)やSIPOC(Supplier- Input-Process-Output-Customer)とあるように、インプットを加工してアウトプットを作成する処理や加工の過程を記述するものと言えます。
そのため、個々の実際の業務を忠実に記述する業務フローに対して、業務プロセスはよりモデル化されたものと考えるのが良いと思います。
いろいろ議論はあるかもしれませんが、まずは一旦分けておくことが重要だと思います。
<図 SIPOCイメージ図>
2.何のために業務プロセスを定義するか?
現状の業務プロセスを可視化して、業務の問題点を分析したり、業務改善の機会を抽出したり、全社での業務プロセスの最適化や標準化をする場合に使います。
主として、以下のような目的で業務プロセスを記述します。
- 業務の生産性の向上
- 業務の品質の向上
- 全社の業務の標準化
- 情報システムの要件の定義
- 組織課題の解決
等
3.トップダウンかボトムアップか?
この業務プロセスをトップダウンで書くか、ボトムアップで書くかということが議論になります。
業務プロセスを設計しようとする場合、企業の経営者からは、
「うちの会社の業務のことはうちの社員が一番よく知っている。だから業務プロセスは社員が書くのが一番で、経営コンサルは不要」
と指摘される時があります。
しかし、現状の業務プロセスを分析するのもあるべき業務プロセスを設計するにも、それなりに専門スキルが必要です。
現場の方は、当然ご指摘のように現場の現状の業務手順については誰よりも詳しいですが、業務プロセス設計のスキルがあるわけではありません。
結果、十人十色、百人百様の業務フローが出来上がります。
つまり、ボトムアップで十人十色の業務フローを積み上げても、業務プロセスの設計はできませんし、目的に挙げたような全社での業務プロセスの標準化には到底行きつきません。
では、どうすれば良いでしょうか。
バリューネットでも明らかなように、企業の活動は、調達先から仕入れを行い、自社で加工し、お客様に商品・サービスを提供するということが基本です。
SIPOCを基本に、業務プロセスをブレークダウンするのです。
<図 業務プロセスのトップダウンアプローチ イメージ図>
※バリューネット、バリューチェーンについては、以下の記事を是非読んでみて下さい
4.業務プロセスのレベルとは?
しかし、勝手に業務プロセスをブレークダウンしていっては、R&Dの業務領域はレベル4までだけど、営業のところはレベル7まであるなんてことになります。
そこで、業務のレベルを定義しておくことも重要です。
<図 業務プロセスのレベル イメージ図>
こうすることで、後で全社の業務プロセスを最適化するといった場合に、どのレベルで業務プロセスを検討すればよいかも明確になります。
また、その粒度を合わせるためには、レベル3くらいの粒度で業務機能一覧として対象とする業務領域の業務機能を一覧として定義することをお勧めします。
<図 業務機能一覧 イメージ図>
5.業務プロセスを書いてみよう
では、実際に業務プロセスを設計する手順を見ていきます。
準備するもの
フローチャートを作成するためには、様々な記号やルールが決められています。
基本は、フローチャート作成のテンプレートに準じていれば良いと思います。
厳密にはは、JISで「X0121」として「情報処理用流れ図・プログラム網図・システム資源図記号」で定義されていますので、参照してみて下さい。(https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISSearch.html)
<図 主要な記号 イメージ図>
主要なものを定義して、あまり細かくルール化しない方が良いと思います。
また、人型等のアイコンを使うことはお勧めしません。
記号やルールを記載するためには、ベースとなる枠組みが必要になりますね。
よくスイムレーンと呼んでいますが、各組織や役割毎に水泳競技のプールのように線で区切られている図です。
これも、縦書き、横書きいろいろですが、クライアントの企業のルール等に準じるようにすれば良いと思います。
<図 スイムレーン イメージ図>
このスイムレーンの中に「プロセス・処理」の箱を記述していきます。
あるべき業務プロセスでも現状の業務プロセスでも「プロセス・処理」の箱の中身をきちんと定義することが重要です。
業務のパターン分けをする
ブレークダウンした業務の内容は、いろいろな要素によりパターン分けする必要があります。
業務プロセスを書きながら、「判断」により細かく分けていくと限りなく業務フローとなり、SIPOCが不明確になります。
そのため、業務のパターンは上位のレベルでパターン分けすることが重要です。
以下は、営業領域でのパターン分けの要素の例です。
- 顧客のセグメンテーション
- 営業・販売チャネル
- 商品・サービスカテゴリー
- 契約形態
- アフターサービスの有無
業務プロセスは顧客に始まり顧客に終わる
業務プロセスで重要なことは、何を始点に書き始めるかということです。
基本は、常にお客様が始点となって書くことを意識しましょう。
そして、最後はお客様へのアウトプットが終点となります。
この始点と終点の間が社内処理ということになりますが、この始点と終点の間をいかに短く効率化するかということが重要になるからです。
先ほどの図で、LOVと書かれている線があります。
「Line of Visibility」の略です。
この線が、お客様から見える企業のタッチポイント、いわゆる「真実の瞬間」が発生する場所です。
また、「自分の仕事は社内の管理業務でお客様はいない」という人もいるでしょう。
しかし、人事部でも経理部でも社員の方がお客様になります。
悪い業務プロセスは、始点が複数あり業務プロセスがどこから始まるか分からないとか、複数終点があり、何をもって業務が終わったと言えるのか分からないという場合です。
6.まとめ
今回は、比較的シンプルなケースで説明しましたが、全社の業務プロセス構造改革等といった場合には、将来目指す目標のために実現すべきあるべき事業の姿や変革のポイントを織り込んだりするので、業務プロセスの設計は難しくなります。
しかし、この定義の一つ一つが新しいクライアント企業の業務の姿となっていくので、とても重要な役割です。
業務プロセスの設計のスキルは経営コンサルタントにとってはとても重要なスキルの一つですので、是非その基本は押さえておくことが重要です。